「時系列分析と状態空間モデルの基礎」より
見せかけの回帰
- 単位根のあるデータ同士の回帰分析にかけると有意な回帰係数が得られる現象を『見せかけの回帰』という。
- 定常AR過程同士の回帰分析でも『見せかけの回帰』が生じる。
原因
見せかけの回帰の発生理由として、「残差に自己相関がある」ことが言われている。
残差に自己相関があると、最小二乗推定量における有効性が失われる。すなわち推定されたパラメタが「最も分散が小さい推定量である」という保証が得られなくなってしまう。
残差に対して正の自己相関があった場合、以下の問題が発生
- 係数の分散の過小推定
- 決定係数R²が過大となる
- 係数のt検定が使えなくなる
残差の自己相関の有無を調べる方法
Durbin-Watson検定(DW検定)の使用
残差の1次の自己相関が0であった場合は、DW統計量はおよそ2になることが知られている。DW統計量が2からどれほど離れているかを確認すれば、残差の自己相関の有無について、おおよその検討がつく。
pythonによるDW検定例
見せかけの回帰を防ぐ方法
見せかけの回帰を防ぐには、過去のデータをモデルに組み込み、データの持つ自己相関を表現するモデルを作る。
ARIMAXモデルやベクトル自己回帰モデル(VAR)、状態空間モデルなどが候補となる。
また、残差の自己相関を明示的にモデルに組み込む回帰モデルとして、一般化最小二乗法(GLS)が知られている。
別の方法としては、単位根を持つデータの場合、差分系列へ回帰分析を実行する。
差分をとることでランダムウォークがただのホワイトノイズになり、見せかけの回帰が起こらなくなる。ただし、差分をとる場合は共和分の確認必要で、共和分があったら差分をとる方法は使えない。
一般的な流れ、
- 単位根の有無を検定(ADF検定 or KPSS検定)で確認
- 単位根がなければ一般化最小二乗法(GLS)を適用(Prais-Winsten法など利用)
- 単位根があれば、共和分の有無を確認したうえで、共和分がなければ差分系列への回帰分析を実施する
単位根検定
- ADF検定
- 仮定:y_t = Σ_i=1_to_℘(Φ_i * y_t-1) + ε_t ε_t ~ W.N.(σ²)
- 上式で y_t が単位根過程に従うとき、AR特性方程式は z=1を解に持つので、単位根検定するためには、
Σ_i=1_to_℘(Φ_i) = 1
を検定する。
ρ = Σ_i=1_to_℘(Φ_i)
とすると、 - 帰無仮説:ρ = 1 (単位根過程)
- 対立仮説:0 < ρ < 1 (弱定常過程)
として検定を行う。 - コード例
共和分
単位根を持つデータ同士で回帰分析をした場合、見せかけの回帰になることが多いが、データが共和分を持っているとその限りでない。
例えば、データx_tとy_tがそれぞれ単位根を持っており、y_tとx_tの線形結合が単位根を持たなくなったとしたら、両者は共和分の関係にある。
x_tとy_tで線形結合したときに、ランダムウォーク系列が無くなり、ホワイトノイズとなるような場合に共和分の関係が生じる。
共和分があるかどうかの検定:共和分検定(Engle-Grangerの方法など)
共和分検定
単位根を持つデータに対して、OLSにより回帰直線を求める。そして残差を計算する。
残差に対して単位根検定を行い、単位根がなくなれば共和分ありとみなすのが共和分検定。
回帰式は一種の線形結合なので、共和分関係にあれば単位根は消える。
また、残差に対して単位根検定を行うため、通常のADF検定やKPSS検定は使えない。
Phillips-Ouliaris検定(PO検定)を使う。この検定の帰無仮説は「共和分関係がない」。
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